V字回復の勘所その百十一:
「掃除後始末! 」

「三匹のたい」

人の心には「三匹のたい」が棲んでいるといいます。

褒められ「たい」。

認められ「たい」。

お役にたち「たい」。

こうした人の気持ちが分かる者は、人心掌握がうまい。
逆に、こうした人の気持ちが分からない者は、人心掌握が下手くそです。

皆さんこんにちは!
V字回復コンサルタントの李です。

前回に引き続き、V字回復を行うために欠かせない
基本行動についてお話します。

基本行動の最後は「掃除後始末」です。

コツは、「いらない物を捨てる事」から始める事です。

事務所内や倉庫の中や作業現場。
パソコンのデスクトップ画面とハードディスクの中。
貸借対照表と損益計算書の中。

使っていない物、保管義務の期限が過ぎている物、
持っていても仕方がない物。

一堂に集めて仕分けし、
本当に必要な物以外全て処分します。

また、収納スペースを最小限にして物を持たない事です。

収納スペースを減らせば物を置くこともなく、
物を持たなければ整理整頓する必要もありません。

私は以前、
TVでアートディレクターの佐藤可士和さんの事務所を見て、
これぞ究極の整理整頓だと感心したことがあります。

ともかく、机と椅子とPC以外何もないのです。

備品は壁と一体になった収納に収められ、
どこに何があるかはデータで管理しています。

佐藤可士和さんはデスクを寿司屋のカウンターに例えながら、
仕事を捌いた後はさっと雑巾で拭いて
次の仕事に備えるイメージだと話していました。

「デスクがこの状態であれば、頭が冴えるだろうなぁ」と
つくづく感心したものです。

その後、私はあの事務所を基準にして掃除後始末に取り組んだところ、
ずいぶんと整理整頓が進みました。

とは言え、いらない物を捨てるというのは
言うほど簡単ではありません。

人、物、金、情報、経営資源にはそれぞれ思い入れがあります。
これが邪魔してなかなか捨てることができないのです。

しかし、思い切って捨ててみてください。
モノと一緒に心の荷物も捨ててしまうのです。
すると、身も心も身軽になります。

余計な荷物は背負わない事です。
これは、V字回復する上で極めて重要な事です。

多くの人は、問題を多く抱え込んだまま何とかしようともがいています。
これが間違いなのです。

V字回復は登山と同じです。
登山中、谷底に滑落してしまったら
必要最小限の荷物以外を捨てて崖を登ります。

同じように赤字に転落してしまったら、
必要最小限のもの以外を捨ててV字回復に集中するのです。

つまり、掃除後始末を通して
何かを得るために何かを捨てる」ことを学ぶのです。