V字回復の勘所その百二:
「すべて現場任せでピンボケした判断を繰り返す問題と、顧客ニーズの変化について行けず古い感性のまま商品開発を怠る問題を解決するためには、役員や本社スタッフが最前線に立つことしかありません。」

過ごしにくい梅雨時ではありますが、
皆様お障りなくお過ごしでしょうか。

雨上がり、
風に揺れる青葉から差し込む木漏れ日が
入道雲の季節を予感させてくれます。

皆さんこんにちは!
V字回復コンサルタントの李です。

V字回復の勘所を連載しています。
今日のテーマは・・・

「すべて現場任せでピンボケした判断を繰り返す問題と、顧客ニーズの変化について行けず古い感性のまま商品開発を怠る問題を解決するためには、役員や本社スタッフが最前線に立つことしかありません。」

とある指導先で実際にあったことです。

これまでこの社長は、
特別なことがない限り店舗に出向くことはなく、
年に一回忘年会時に各店舗を回って酒を飲みかわすだけでした。

専務と常務もめったに店舗に出向くことはなく、
FAXで送られてくる業績資料に目を通して
本社から電話で気になる点を確認するだけでした。

実のところ、取締役会前に社長報告の為の
情報収集をしているに過ぎなかったのです。

そして、自分にとって都合の悪い情報は黙殺されて、
事が表立ってからしか社長に報告が上がってこない状況でした。

しかも、報告を行うのは事を起こした担当者とその店長です。
これが専務と常務対する店長以下社員達の不満の原因でした。

このように、社長が現場から遠ざかれば遠ざかるほど、
見えないところで組織の腐敗が進んで正確な情報が届かなくなり、

やがて現場と感覚がズレ始めて
ピンボケした経営判断を下すようになり、
会社は迷走を始めて三期連続赤字になってしまったのです。

この「社長のピンボケと役員の責任逃れ」こそが、
最も深刻な問題でした。

そこで、現地指導と称して
社長以下役員が毎月店舗に赴き指導を行うプログラムを組みました。

すると、社長以下役員の現場との感覚のズレが是正されはじめて、
徐々にピントの合った経営判断を下すようになりました。

現場の生の情報が
直接社長にフィードバックされるからです。

「現場、現物、現実」この三つを三現主義と言いますが、
これは問題解決の基本です。

問題は最前線で起きています。
社長室と会議室だけでは事実は分かりません。

三現主義を実行することで、
現状認識が進んで問題が解決へと向かったのです。