V字回復の勘所その二十二:
「規模の追求から価値の創造へ。」
皆さんこんにちは!
V字回復コンサルタントの李です。
V字回復の勘所を連載しています。
今日のテーマは、
「規模の追求から価値の創造へ。」
です。
売上高が第一でコストが成行きの経営を行えば、
膨らむのは売上高とコストと借入金ばかりで
利益(=自己資本)が犠牲になります。
売上至上主義の経営は、
大量投資、大量生産、大量消費型の市場に適したやり方です。
これは、新興国や成長市場にだけ有効です。
しかし、かつての高度成長期やバブル最盛期のイケイケどんどんの時代とは違い、
成長市場はIT産業や高齢者介護医療分野などごくわずか。
日本経済を総じて見れば「衰退期」=デフレに入っています。
人口の減少に伴い市場は縮小して競争は激化し、
市場の飽和と社会の成熟化に伴い人々の価値観は多様化し、
更には格差社会が広がって低所得層が増え、
クローバル化とIT技術の進化で
継続的なデフレ圧力が加わり始めると、
売上至上主義の経営では
環境変化に対応できず淘汰されてしまうのです。
例えば、流通革命と称して一世を風靡した中内功氏率いるダイエーも、
あれだけの顧客獲得能力と売上規模を誇りながら倒産しました。
あの日本マクドナルドも、
かつては環境変化に対応できずに売上高で何とかしようと
65円バーガーなどの安売りに走って窮地に追い込まれ、
最後は経営者を変えて
人と利益重視の経営に転換することでV字回復を遂げました。
私は、決して売上高の成長を否定している訳ではありません。
売上高の成長はもちろん必要です。
ただし、売上高の成長には新しい価値の創造が不可欠です。
しかし、売上至上主義者たちは、
手間と時間のかかる価値の創造よりも
手っ取り早い「規模の拡大」を追求しようとします。
これが問題なのです。
例えば、スーパーカブを創り出したホンダ、
ウォークマンを創り出したソニー、
アイフォーンを創り出したアップル。
戸建住宅建設業で言えば、
独自の競争力ある商品と売れる仕組みを作り出したフランチャイザー。
偉大なパイオニアたちが創り出した
価値を仕入れて売るだけの販売業者が、
分を超えた規模拡大を行うから失敗するのです。
二番煎じのビジネスは利益率が低く、
その上価格競争する以外インパクトのある差別化を図ることができません。
「安易な規模の追求」、
これが売上発想ではV字回復することはできないもう一つの理由です。