V字回復の勘所その四十九:
「中国古典の菜根譚に「得意の時、すなわち失意の悲しみを生ず」とありますが、景気のいい時に得意になって腰高経営をすれば、いつか足元をすくわれて失意の悲しみに浸ることになりかねません。古い日本のことわざに「勝って兜の緒を締めよ」とありますが、経営者にはこの姿勢が大切です。」

皆さんこんにちは!

日本海にサーフィンのシーズンが到来し、
朝から海に入ってきましたV字回復コンサルタントの李です。

V字回復の勘所を連載しています。
今日のテーマは、

「中国古典の菜根譚に「得意の時、すなわち失意の悲しみを生ず」とありますが、景気のいい時に得意になって腰高経営をすれば、いつか足元をすくわれて失意の悲しみに浸ることになりかねません。古い日本のことわざに「勝って兜の緒を締めよ」とありますが、経営者にはこの姿勢が大切です。」

です。

とある会社であった実例です。

この会社は「コストと社員に甘くどんぶり勘定」で
改善すべきことがたくさんありました。

特に固定費に無駄が多く、
その削減は早急の課題でした。

具体的な無駄の改善に着手する以前に、
ダブついた固定費を放置したまま値上げと受注に走る
「姿勢」から正す必要がありました。

ところがこの会社の社長、ともかく固定費の削減を嫌う。

三期連続赤字を出す中で、
前期の接待交際費は逆に100万上昇していました。

社長がこんな調子である為、
他の役員や社員に固定費の削減意識があろうはずがありません。

受注を取る事しか教えられてこなかった店長たちは、
固定費削減とは後ろ向きでつまらない事だという先入観が根深くある様子でした。

総務経理も、
当初は目の前の伝票の集計作業と書類作成しか頭にない様子で、

具体的な費用の無駄を指摘しても、
これは社長や役員の判断によるものだから自分には関係ないと言った調子でした。

固定費の削減は、
理論的には原価の削減や売上げを上げるよりもはるかに易しい。

なぜならば、
その気になれば「己の決断」一つで実行できるからです。

しかし、一度レクサスに乗った者が
軽自動車に乗り換えることができないように、

人間とは一度腰高経営を覚えてしまうと
損益分岐点を引き下げて闘う姿勢を作ることがなかなかできません。

中国古典の菜根譚に
「得意の時、すなわち失意の悲しみを生ず」とありますが、

景気のいい時に得意になって腰高経営をすれば、
いつか足元をすくわれて失意の悲しみに浸ることになりかねません。

まさにこの会社がそうだったのです。